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HKT48『しなもん』こと下野由貴ちゃん&『ぴなの』こと後藤陽菜乃ちゃん激推しブログ(のはず)。劇場公演のレポートなどを中心にアイドルヲタク全開で綴っていきます♪

アイドル演劇とは言わせない #劇はじ「不本意アンロック」

コロナ禍でまたもや劇場公演は中止に。
テンションだだ下がりで、博多なないろ公演について語りたい気持ちも、しぼみっぱなし。
一応年明けの1/11の赤&紫という最高ペアの夜公演には入れたんだけど、座席が96番では不完全燃焼…

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そんななか、オンライン演劇【劇はじ】が初日を迎えた。
役者としては下野さんもぴなのも出演しないし、オンライン演劇というフォーマットに今ひとつピンとこなかったので。「全通するぞ!」みたいな前のめりな気持ちにはなれずにいた。
というのが正直なところ。

とはいえ下野演出、みゅん脚本、そして先行特典目当てで、初日公演は早々にゲットしてはいた。

そして、2/20に2作品の初日を観劇。
度肝を抜かれた。
細切れの感想はツイートしたけれど、ブログにまとめて書き留めておきたい。

マジで、HKT推し、というバックグラウンド抜きですばらしい作品になっていた。
まず、オンライン演劇というフォーマット。
画面の向こうで登場人物が演じているという点では、テレビドラマに近い。
リアルタイムのステージ上という限られた時空間で、セットや照明、何より役者の芝居で作品を見せる演劇でもある。
そのハイブリッドの新しい形式を見せられた気がした。
オンラインゆえの、音声の乱れや解像度の不足など気になる点が無いわけではないけれど、新しいエンターテイメントの可能性を感じることができた。

そして何より、作品のクオリティが高い。
というか、普通に感動した。
アイドルだからとか、推しが演出してるから、ではなく、純粋に面白かった。

まずは、ごりらぐみ「不本意アンロック」から。

ミステリー小説にはアームチェア・ディテクティブ(安楽椅子探偵)というカテゴリーがある。
事件の現場に行かず、登場人物との会話や情報だけで事件を解決する名探偵。
この話には名探偵はいないけれど、引きこもりの佳が部屋にいるだけなのにとんでもない事件(?)に巻き込まれていく、受け身で巻き込まれ型の主人公。
そして自分自身が成長しながら、周囲の人々のいざこざや問題を解決していく。
壮大だけど、周辺5メートルで解決するストーリー。
あきちゃんの脚本は、小説として一級品だと思う。
メイキングで下野さんが役者陣に向かって「今の所、話を読んだほうが面白い」と切り捨てていたけれど、さもありなんと思う脚本の仕上がり具合。

そんな世界観を、見事に演劇として演じきった役者陣に拍手。
その中でも、おいもちゃんが間違いなく初日公演のMVPだと思う。
おいもちゃんではなく佳ちゃんとして、画面の向こうに存在していた。
そして、未来人という荒唐無稽な設定を腑に落とさせる、エニシことはなちゃんの演技とキャラクターなくしては、このストーリーを納得させることはできなかったと思う。
プロローグのはなちゃんの語りからのオープニング映像で、すーっと物語に導かれるから、本編に違和感を感じなかったんだと思う。

役者ではないけど、鍵屋姫(もかちゃん)の登場はいつ考えたんだろう。
脚本に最初から書いてあったのであれば、あきちゃんは天才。
稽古中に誰かがアイデア出しして追加されたとしたら、その誰かが天才。
初日の最初の段階では、鍵屋姫ちょっと尺取りすぎじゃないの?とか思ってたけど。
セイルや朔など、初対面の相手とのZoomで話すことになるシーンでの、ぎこちなさや違和感を一気に解消できるマジックワードとして、鍵屋姫が登場することになるとは。
冒頭の尺は、見てる人に鍵屋姫が実在しているかのような存在感を植え付けるのに必要だった訳だ。納得。

物語を見終えて感動したのがエンドロール。
余韻に浸る心にしみる、透明感あふれるえれたんの歌声が素晴らしい。
「鍵をかけ」から始まり、「鍵をあける」で終わらせる、あきちゃんの詞のセンスもにくい。
あきちゃんのしてやったり顔が想像できてしまう。

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そしてそしてなにより、「演出 下野由貴」が流れる場面。
グッとしみる…

本編の小物や衣装も興味深かったけど、エンドロールの写真も凝ってる。
周の卒業文集。

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同窓会のはがき。

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 朔の名刺にある会社名は「インザマロン」。

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名字である栗内のもじりだよね。
ブリヂストン命名方法と同じだ。
周の部屋のイラストは誰が書いたんだろう?
セイルの部屋の占いの書も誰かが書いたのかな?
色々細部にこだわっているのがわかるし、気になるし。

アイドルというのは、自分自身の魅力がビジネス素材。
これが普通の演劇作品であれば、役者陣がアイドルの魅力を見せるもの。
なのに、このプロジェクトは、アイドルの魅力だけではなく、アイドルが創造するという過程と、完成した作品を売るというメタ構造になっている。
アイドルの魅力と、作品の面白さとクオリティの高さが相乗効果を上げているのは間違いない。

次は、ミュン密「水色アルタイル」。
王道の青春群像劇。

アイドルが一番生き生きと演技できるジャンルであり、感情移入できるお話。
なのに、役者陣の年代差よ!
JK3の設定だよねwww
JKの青春のキラキラ感や葛藤を、オンライン演劇で表現すことはごりらぐみよりずっと難しかったと思う。

めるの演出は、見る人の想像力を刺激して、5人のパーソナルやバックグランドを感じさせることに苦心したのではないかと思う。
終盤の学園祭に向かって、すべてを収斂させて昇華させ主題歌につなげていくストーリーは、青春だった。
メインビジュアルも秀逸の出来だった。

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主人公は「るな」役のいぶいぶなんだけど、実は「リリカ」役のわかにゃんが裏主人公であったと思う。
5人それぞれの気持ちが変化するさまを、もっとじっくり描いてほしかった、とは思う。
でも、そこをあえて深く描かないことで、物語のスピード感と飢餓感で惹きつけられているのかな。
映画だったら、円盤化時の特典として5人のサイドストーリーをつけて欲しいと思った。

この作品に関しては、「不本意アンロック」でメタ構造と表現している構造にプラスして、もうHKTとしてアイドル活動しているメンバーが、アイドルを目指すJKを演じるという、ある意味三重構造になっている。
なっぴのアイドル性を一旦否定して「明」という娘、「希望」ことなつに依存するJKとして感じながら、でも「3-2」のなっぴが否が応でもオーバーラップする感じ。
アイドル映画というか、アイドルが役を演じることの面白さと難しさだと思う。

 

鍵屋姫こともかPが、お気に入りの場面をスクショして感想をツイートしてね、って言っている。
でも、無理。
だって、物語にのめり込んでるから。
スクショしたり、ましてやツイートを片手間に書くとかできるわけない。
エンドロールで「ふ~」って息を吐いて余韻に浸るまで、画面に集中してるんだよ。

初日が終わって、各種メディアに記事が上がっている。
そのほとんどが、アイドルがすべてを手掛けるオンライン演劇の面白さ、という論調だ。
間違ってはいないが、「アイドルが」というその冠が作品の良さをスポイルしてる気がしてならない。
アイドルヲタの私でさえ、作品を見るまでは眉唾状態でいた事を思うと、一般層にこの作品の魅力を伝えること、ましてや、お金を払って作品を見てもらうことのハードルは高い。

「アイドル」という冠を外して、「演劇」として対価を払って見るに値する作品であることは間違いない。
そのクオリティをどうしたらアピールできるのだろう。
アイドル故に陥るジレンマに悩む深夜…


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